柿沼東光本人が選んだ一押しのお雛様です。平城遷都千三百年記念作品 木目込み雛人形
木目込み人形作家のなかでも屈指の技術を誇る伝統工芸士柿沼東光一押し自信作の雛人形です。白を基調とした生地を着せ付け、彩色技法による華やかで品格のあるお雛様です。
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木目込み人形の特徴 - 木目込み人形は、硬い胴体の溝に、布を貼り付けて作った雛人形です。溝に布を木目込んでつくることから木目込み人形と呼ばれ、その作り方から、着物を着せ付けて作られる衣装着と区別されます。木目込み人形も、人数や飾る形式によって、親王飾りや三段飾り、七段飾りがあります。衣装着は、重なる生地の厚みにより、作ることができる人形の小ささの限度があるのに対し、木目込み人形は普通1枚、多くて2~3枚の生地を重ねるつくりから、非常にコンパクトなものがあります。手芸教室などでも作られていますが、緩やかなへこみのカーブなどを再現するのには高度な技術が必要で、人形の形やバランスは工房の技術に大きく左右されます。
柿沼東光で作られる中の、ごく一部のお雛様だけに施される極上品。襟や袖だけでなくいたるところに施される彩色。柿沼東光の技術の総結集です。
下絵を描いた後、モデリング剤で盛り上げます。その上から金箔を押し、膠(にかわ)で溶いた顔料を刷毛(はけ)で金箔の上から色付けします。出来上がる彩色は、衣装だけでなく人形までも美しく優雅で上品な雰囲気に生まれかわらせます。
このように手間のかかる豪華な彩色をお姫様の袖だけでなく、裾や襟周りまで行いました。またお殿様の衣装はもちろん、官女にも手間を惜しまず、彩色技法で絵付けしています。こんなお雛様だからこそ、ひきつける魅力があるのです。彩色の工程の一部も写真にのせています。下絵にモデリング材で加工しているところです。お邪魔したときにちょうど作業中だったので写真を撮らせてもらいました。
柿沼東光本人が選んだ一押しのお雛様です。平城遷都千三百年記念作品
- 品番 - 10heijyousento
- サイズ - 約間口66×奥行き47×高さ41cm
- 人形の大きさ - お姫様の幅17.5×高さ11、お殿様の幅16×高さ13、立ち官女の幅8×高さ9.5(cm)
- 伝統的工芸品 - この木目込み人形には『一定の地域で主として伝統的な技術又は技法等を用いて製造される伝統的工芸品』として、経済産業大臣から認可されたマークが、一品一品についています。
- 製造元 - 柿沼東光工房
- 平城遷都千三百年を記念して、華麗な宮をイメージして創作しています。衣装には華紋の図柄を盛り上げ本金箔押し彩色して、豪華に仕上げた逸品作です。
- 殿、姫共に白を基調とした衣装で、東光独自の技法である彩色技法で絵付けされています。複雑な工程で、その色合いは見るものを魅了します。穏やかな表情のお顔。襟元の彩色が華やかさを演出します。
- 胴体は桐塑(一般品はウレタン樹脂)、胴体の修正が難しい。一番手がかかるのは底。乾燥したら底がへこむ。これをまっすぐに直すのがもっとも手間のかかる作業。木目込むために溝の角が立つように加工することも熟練の技術が必要である。胴体の修正が終わると、胡粉を塗り、彩色を施す。つむぎを木目込んで、上塗り胡粉。生地に下絵を描いて、モデリング材で盛り上げる。その上から箔押し。顔料を膠でといてはけで箔の上に色つけをする。使用する生地は、縦糸、横糸ともに正絹西陣京都産(一般品は化繊)。
- 松の木手(一般品はプラ)、松の木を彫った後、3回胡粉を塗り、仕上げに上塗り。
- 頭は、伝統的な作り方のせともの頭(焼き物頭)。ペーパー磨きをした後、上塗り、面相描き、結髪。この工程だけで少なくとも一ヶ月。中は空洞。型抜きは東京、髪結い、面相は埼玉。
- 冠は和紙(通常品はプラ)。
- 木製油灯。
- 本金手描き蒔絵の道具(静岡産)。
- 竹細工囲垣紅白梅(駿河産)。
- 勺はあららぎ。
- 天冠は真鍮に鍍金。
- 飾り台は本ため塗、素材はMDF合板(特注品)。
- 屏風は枠だけいれて後は工房で加工
この雛人形、柿沼工房で造られました。柿沼工房を指揮するのが柿沼東光。伝統工芸士です。この人です(笑。
柿沼東光プロフィール
- 昭和23年9月東京生まれ
- 昭和49年に伝統工芸士柿沼東光に師事し以来、江戸木目込み人形制作に専念
- 華麗なる色彩による親王飾り、風俗人形などを発表。とりわけ、螺鈿の象嵌や色彩二衣重の木目込み人形など独自の技法を学び、技術向上に努めながら、常に”時代の今”を見つめ、斬新な作品作りに取り組むスタイルで新しい東光ブランドを築いている。
- 平成11年2月 通産大臣認定伝統工芸士
- 平成12年2月 東京都知事認定伝統工芸士
柿沼工房受賞履歴(全国節句人形コンクール)
- 文部大臣賞受賞 昭和60年
- 内閣総理大臣賞受賞 昭和62年
- 内閣総理大臣賞受賞 平成元年
- 東京都知事賞受賞 平成3年
- 内閣総理大臣賞受賞 平成4年
- 通産大臣賞受賞 平成5年
- 通産大臣賞受賞 平成7年
- 文部大臣賞受賞 平成8年
- 中小企業庁長官賞受賞 平成9年
- 通産大臣賞受賞 平成10年
- 文部大臣賞受賞 平成11年
- 中小企業庁長官賞受賞 平成12年
- 中小企業庁長官賞受賞 平成13年
- 東京都知事賞受賞 平成14年
- 東京都産業労働局長賞受賞 平成15年
すごいでしょ。技術の高さがわかります。平成19年は、最優秀技能賞を受賞してました。すごいです。
で、ここで造られたのがわかったら、次はお雛様の質。
このマーク知ってます?
伝統的工芸品指定を受けたものにつけられる、本物の証です。通産大臣に認定された逸品にのみ交付されます。
どこが、本物かって?それは制作の高い技術はもちろん、昔ながらの良い素材を厳選して作る本物なのです。
例えば、生地。
化繊は使用しません。そう、もちろん高級な正絹を贅沢に使用します。
例えば、胴体。
通常は型でとった樹脂を使用します。黄色い素胴(写真)がそれです。
樹脂は変形が少なく取り扱いが楽なためほとんどの木目込み人形に使われます。しかし、このお雛様は違います。
桐塑といって、桐の粉とのりを混ぜ粘土のようにして作るのです。
と~っても手間をかけて昔ながらの技法で造ります。茶色い胴体の写真のものがそれです。後ろの白い胴体は桐塑の胴体に胡粉(貝殻を焼いて細かく粉末にした白色顔料)を塗った仕上げ途中の胴体です。手のかけようが違います。高い技術で手間をかけて作り出されるのです。
これに、生地を木目込んでお雛様の体が作られます。
例えば、手。
通常良く出回っているのは、プラ。
このお雛様の手には、木彫りの手です。
例えば、お顔(頭)。
良くあるのが、石膏の量産品。石膏の頭は、現代になって発案されたもの。伝統的工芸品とはいえません。このお雛様は、焼き物で作られています。石膏のお顔のほうが作るのが簡単なのだそうです。でも、あえて、焼き物にこだわるのは昔ながらの良い素材、作り方にこだわって作った結果なのです。このこだわりが、通産大臣の認定をうけた伝統的工芸品のお雛様となるのです。すご~い♪
簡単な工程は外注に出す場合もあるが、複雑な工程は極力工房で行うほどのこだわりよう。工房の職人はたった10人。もちろん、みなさんすべてが高度な技術者です。一年掛けて造ってもたった10人で造るのですから作れる数は僅か。
雛人形は日本の文化です - 3月3日は女の子のひな祭り(桃の節句)で、お子様の成長を喜ぶお祝い事として日本の五節供のうちのひとつとされます。とりわけ赤ちゃんが生まれてから、最初に迎える節句を初節句といい、盛大にお祝いします。雛祭りは、緋毛氈等で区切って神聖な場所を作り、そこに雛人形を飾ってお供え物をし、女の子の邪気を払って健やかに成長してほしいと願い事をする家庭で行う小さなお祭りです。また、男の子の端午の節句には五月人形や鯉のぼりを飾ります。