尊正雛人形工房
手作りの雛人形の味が存分に楽しめる尊正雛人形工房を訪ねました。
京都の雛人形師、尊正工房の片岡 正博さんです。平成19年の秋に熱烈なラブコール?をいただき、京都からはるばる十二段屋へ訪ねてこられました。京友禅師と親交が深く、金襴屋さんの流行にとらわれない独自の衣装(※1)を着せ付けた雛人形を作ります。下の写真は、平成20年6月、京都の工房へ雛人形を見にお邪魔したときのワンカットです。
(※1)一般の雛人形工房は毎年開かれる金襴生地の展示会から、気に入った生地を選び、それを雛人形にしています。そのため、どことなく似たような雰囲気というか、うまく表現できませんが、作風が違っても、ありふれた雛人形に見えたりするのです。
つまり、普通の雛人形工房ではできない、人形師やお店が思い描く柄や色合いの雛人形を作ってくださる、そんな工房です。さらに、本物の京都の友禅屋さんがそのために生地を染めてくださるので、色柄の出来栄えはすばらしいです!
で、そのすばらしい生地を他人には任せられないと、片岡さん自ら、裁断を行います。生地の裏張りや裁断など、すごく手が掛かるため、外注する工房がほとんどのご時世なのです。なぜ一般の雛人形工房は裁断などを外注するかといえば、非常に効率が悪くなるため。雛人形の工房は、一体なんぼの世界ですから、より多く作ることが最優先課題です。ですから、一番手の掛かるものから外注し、最後の組み立てや、着せつけだけ自分のところで行うのです。
それなのに、すべての工程を自らが責任をもって行う。これは、本当に特筆すべきことなのです。また、物作りが好きで好きで、蓄えを食いつぶしながら雛人形の研究を重ねている、作っている、最近の雛人形業界では探しても見つからない職人さんが作り出す雛人形ですから、流れ作業では味わえない、本当の手作りと呼ぶにふさわしいおひなさまを存分にお楽しみいただけます。
雛人形は日本の文化です - 3月3日は女の子のひな祭り(桃の節句)で、お子様の成長を喜ぶお祝い事として日本の五節供のうちのひとつとされます。とりわけ赤ちゃんが生まれてから、最初に迎える節句を初節句といい、盛大にお祝いします。雛祭りは、緋毛氈等で区切って神聖な場所を作り、そこに雛人形を飾ってお供え物をし、女の子の邪気を払って健やかに成長してほしいと願い事をする家庭で行う小さなお祭りです。また、男の子の端午の節句には五月人形や鯉のぼりを飾ります。